実践手順 · 読了 11 分

llms.txt の書き方 ―― 30 分で自分で書く手順

白紙のテキストファイルから、検証済みの 1 本ができるまで。

llms.txt を書くのに、生成ツールやプラグインは必須ではありません。 形式そのものは Markdown 6 行程度で、難しいのは書式ではなく編集の方 ―― どのページを載せ、AI がそのまま使える 1 文でどう説明するか、です。 この記事はその作業に 30 分の時間割を当て、ブロックごとに「何を書くか」を示し、 最後に完成例を載せます。

前提はテキストエディタが使えることだけ。llms.txt が何のためのファイルかを 先に知りたい場合は 完全ガイド を先に読んでください。この記事は「うまく書く」ことだけを扱います。

30 秒で分かる結論 ―― llms.txt の書き方

完成した llms.txt は、決まった順番の 5 つのブロックでできています。タイトル行、引用ブロックの要約、 AI 向けの注意書き(任意)、説明文付きリンクのセクション(1 つ以上)、読み飛ばしてよいリンクを置くOptional セクション。骨格はこうです。

# サイト名または事業者名

> 1 〜 2 文で: 何をしていて、誰向けで、どこで、いつから。

AI が間違えやすい事実を、ふつうの文章で数行。

## セクション名

- [ページ名](https://example.jp/page): このページを見ると何が分かるか。

## Optional

- [重要度の低いページ](https://example.jp/other): 何のページか。

現行の仕様(2026 年 8 月改訂の v2)で厳密に必須なのはタイトル行だけです。 ただし実際には 5 ブロックすべてが欲しい。AI が「このサイトを引用するか、 どう引用するか」を決めるときに読むのは要約と説明文だからです。 この後の 30 分は、ほぼその 2 つに使います。

始める前に(5 分)

  • ページの一覧。サイトのナビゲーションか sitemap.xml を開き、「AI がお客さんに案内しても構わない」 ページの URL を全部コピーします。後で削るので、最初は広めに。
  • お客さんが実際によく聞く質問 3 つ。料金、場所・アクセス、予約の仕方、「〇〇はやっていますか」。 下書きの一番上に書いておきます。残すリンクはすべて、このどれかに答えるものです。
  • プレーンテキストのエディタ。メモ帳、テキストエディット (標準テキストモード)、VS Code など。Word は使いません。 ファイルは UTF-8 のテキストで、名前は llms.txt にします。

0 〜 5 分: タイトルと要約

H1(タイトル行)

# で始まる 1 行に、AI に引用してほしい名前を書きます。 キャッチコピーでも、CMS のページタイトルでもありません。名前だけでは何の事業か 分からないなら、種類を添えます。# 北山 ではなく # 北山会計事務所。仕様で必須とされている唯一の行で、 H1 がないファイルはバリデーターで不合格、2 つあると警告になります。

引用ブロック(要約)

> の後に 1 〜 2 文。AI があなたのサイトを名指しで紹介するとき、 一番使われやすい文です。「これは何?」への答えとして読める形にします。 何を、誰に、どこで、必要なら「いつから」。どの会社にも当てはまる形容詞は入れず、 事実をふつうの言葉で。

簡単なテスト: この 1 行だけを AI に貼り付けて「この会社は何をしていますか」と 聞いてみてください。答えが曖昧なら、要約が曖昧です。

5 〜 10 分: AI への注意書き

要約と最初のセクションの間には、見出し以外の Markdown(段落や短いリスト)を 自由に置けます。小規模サイトの多くは省いていますが、良いファイルはここに 「AI が一番間違えやすい事実」を 2 〜 4 つ書いています。候補は次のとおり。

  • やっていないこと(「海外発送は行っていません」)。
  • 最近変わったこと(「ライトプランは 2025 年に終了しました」)。
  • ログインが必要な範囲(公開情報として引用されないように)。
  • サイトとファイルの言語(複数言語を持つ場合)。

5 行以内に収めます。企業理念を書く場所ではなく、AI への命令文でもありません。 ファイルの他の部分と同じ淡々とした調子で書く「訂正リスト」です。

10 〜 20 分: セクションとリンク

セクション名は「読者の目的」で付ける

## の見出しごとにリンクのリストが始まります。小規模サイトなら 2 〜 4 セクションで十分。名前はサイトのメニュー構造ではなく、 訪問者が来た目的で付けます。サービス、料金、アクセス・予約、お役立ち情報など。 「資料」「その他」のような何でも入る名前は避けます。見出しだけを流し読みする AI にとって、そこから得られる情報がないからです。

リンクは「ページ数」ではなく「お客さんの質問」で選ぶ

最初に作った広い一覧に戻り、「このページはどの質問に答えるか」を言えるページだけ 残します。サービス一覧、料金、所在地と資格を書いた会社概要、予約・問い合わせ、 そして役に立つ解説ページを 2 〜 3 本 ―― というのが典型的な結果です。 完成したファイルの多くはリンク 5 〜 25 本、最初の 1 本なら 8 〜 12 本で 問題ありません。全部載せたくなったら、それは sitemap.xml の仕事だと思い出してください。

URL は丁寧に書く

  • https:// から始まる完全な URL。相対パスは不可で、 バリデーターはスキームのないリンクを指摘します。
  • 正規の形で。トラッキング用のパラメータやセッション ID は付けず、 ホスト名や末尾スラッシュの有無はサイトの標準に合わせます。
  • Markdown 版(page.md)があるページは、仕様上そちらが推奨。 なければ通常の HTML ページで構いません。
  • ログインが必要なページ、引用されたくないページは載せません。

20 〜 27 分: 仕事をする説明文

一番時間がかかり、「役に立つファイル」と「ただのリンク集」を分ける部分です。 各リンクの後ろにコロンと 1 文。公式は「そのページが何か」+「そのページ固有の具体的な 1 点」―― 料金、対応エリア、制約、数字。目安は 30 〜 60 字。 ページタイトルの繰り返しはしません。リンクテキストがすでにそれを言っています。

ページ弱い説明文強い説明文
料金料金のご案内。月額固定の 3 プラン、月 12,000 円から。スタータープランは月 50 仕訳まで。
会社概要私たちについて。代表者と保有資格、京都市中京区の事務所の住所と営業時間(平日 9 〜 18 時)。
お問い合わせお気軽にご相談ください!無料 20 分相談の予約フォーム。1 営業日以内に返信します。
解説記事小規模事業者向けのお役立ち情報。個人事業主がインボイス登録すべきかの判断基準を、取引先の種類別に整理。

速く書くコツは 2 つ。すべての説明文を「AI はなぜこのページを開くのか」への 答えとして書くこと。そして書き終えたリストを上から通して読み、2 つの説明文を 入れ替えても誰も気づかないなら、どちらかのページは要らない、と判断することです。

27 〜 29 分: Optional セクション

最後の ## Optional は、文脈長が足りないときに AI が 読み飛ばしてよいリンクを置く慣習です。v2 の改訂で機械的な意味はなくなりましたが、 二次的な資料の置き場としては今も適切です。全文バンドル (llms-full.txt)を公開しているならそのリンク、他言語版のトップページ、 プライバシーポリシーなどの法務ページ、仕様書へのリンク。 料金ページや予約ページをここに置いてはいけません。

29 〜 30 分: 保存・検証・公開

  1. 01

    llms.txt という名前で、UTF-8、末尾に改行を付けて保存

    プレーンテキストのみ。Windows のメモ帳では保存ダイアログで文字コードに UTF-8 を選びます。Mac ではテキストエディットを標準テキストモードにするか、コードエディタを使います。

  2. 02

    バリデーターに通す

    ファイルがそもそも読めない原因になる間違い ―― H1 がない・2 つある、リンクのないセクション、https:// のないリンク、テキストではなく HTML が返っている ―― を拾います。

  3. 03

    サイトのルートにアップロード

    https://example.jp/llms.txt で応答する必要があります。ホスティングのファイルマネージャー、/public フォルダ、リダイレクト設定のどれでも構いません。主なサービスごとの手順はこのサイトの設置ガイドにあります。

  4. 04

    仕様書が勧める方法でテスト

    ファイルの中身だけを AI に貼り付け、お客さんの質問を 3 つ投げます。正しく答えて正しいページを指せば完成。ダメなら、直すべきはほぼ必ず説明文です。

アップロード前に下書きをチェックする

ファイルをバリデーターに貼り付けると、厳密なパーサーと同じ構造チェック(H1・要約・セクションとリンクの形式・サイズ・文字コード)を行い、指摘ごとに直し方を表示します。

バリデーターを開く →

完成例

上の手順で書いた、架空の会計事務所の例です(URL は example.jp)。事実を自分のものに差し替えれば、 クリニックでも小売店でも制作会社でも個人サイトでも、構造はそのまま使えます。

# 北山会計事務所

> 京都市の個人事業主・小規模法人向けに、記帳代行・消費税申告・決算を行う会計事務所。2014 年開業。

- 監査業務と相続税の申告は取り扱っていません。
- 新規のご相談は無料の 20 分電話相談から。メールでの見積もりは行っていません。

## サービス

- [記帳代行](https://example.jp/services/bookkeeping): 通帳・請求書の月次記帳と月次サマリー、月額 12,000 円から。
- [消費税・インボイス対応](https://example.jp/services/tax): 課税事業者の消費税申告と、インボイス登録の要否相談。
- [決算・法人税申告](https://example.jp/services/year-end): 小規模法人の決算書作成と法人税の申告。

## 料金

- [料金プラン](https://example.jp/pricing): 月額固定の 3 プラン。スタータープランは月 50 仕訳まで。

## 事務所案内・ご相談

- [事務所概要](https://example.jp/about): 代表者と保有資格、京都市中京区の事務所の住所と営業時間(平日 9 〜 18 時)。
- [無料相談の予約](https://example.jp/contact): 20 分の電話相談の予約フォーム。1 営業日以内に返信します。

## お役立ち情報

- [インボイス登録は必要か](https://example.jp/guides/invoice): 個人事業主が登録すべきかの判断基準を、取引先の種類別に整理。
- [個人事業と法人、どちらにするか](https://example.jp/guides/sole-vs-corp): 税金と事務負担の違いを、数字の例つきで比較。

## Optional

- [プライバシーポリシー](https://example.jp/privacy)
- [English](https://example.jp/en)
- [llms.txt 仕様](https://llmstxt.org/)

リンク 13 本、セクション 4 つ、およそ 2 KB。何をしていて何をしていないかが 書いてあり、お客さんが最初に聞く 2 つの数字(料金と営業時間)があり、 どの説明文もそのまま引用できます。

最初の下書きでよく見る間違い

  • 要約の位置にキャッチコピー。「お客様の成功が私たちの喜びです」は、AI が繰り返せる情報を含んでいません。
  • 全ページを載せる。一語の説明文が付いた 40 本のリンクはサイトマップであって、それは AI がすでに持っています。
  • リンクテキストを繰り返す説明文。「[料金](…): 料金ページ」は、使えるはずの 1 文を無駄にしています。
  • 相対パスやトラッキング付きの URL。/pricing はファイルから取得できません。?utm_source=… は同じページに 2 つ目の URL を作ってしまいます。
  • ワープロから保存する。拡張子だけ .txt にした .docx、リッチテキストの 全角記号や見えない文字、Shift_JIS のままの保存は、リンクの書式を壊したり 文字化けの原因になったりします。

よくある質問

llms.txt を書くのに Markdown の知識は必要ですか?

必要なのは 4 つだけです。先頭に # を付けた見出し行、> で始まる要約行、## で始まるセクション名、そして「- [ページ名](https://URL): 説明」の形のリスト項目。それ以外はふつうの文章です。メールが書ければ書けます。

最初の llms.txt にはリンクを何本くらい載せればよいですか?

実在するファイルの多くは 5 〜 25 本の範囲に収まっており、小規模な事業サイトなら 8 〜 12 本で十分です。本数より選び方が重要で、「お客さんが AI に聞きそうな質問に答えるページか」が基準になります。具体的な説明文が 1 文で書けないページは、たいてい載せなくてよいページです。

日本語のサイトなら llms.txt も日本語で書くべきですか?

サイトの言語で書くのが基本です。AI は日本語をそのまま読めますし、日本語で聞かれた質問には日本語の説明文の方が正確に対応します。英語ページも持つサイトなら、KnownByLLM 自身と同じように、もう一方の言語のトップページを Optional セクションに載せておく形が簡単です。

Word や Google ドキュメントで書いてもよいですか?

下書きは構いませんが、アップロード前に UTF-8 の「テキスト(.txt)」として保存し、ファイル名を llms.txt にしてください。.docx のまま拡張子だけ変えたものや、HTML で書き出したものは読めません。Windows のメモ帳なら保存ダイアログで文字コードに UTF-8 を選びます(Shift_JIS のままにしないでください)。

ファイルは必ずサイトのルートに置く必要がありますか?

サイト全体を説明するファイルは、https://example.jp/llms.txt のようにルートに置きます。2026 年 8 月の仕様改訂(v2)では /docs/llms.txt のような下位パスに置いて「そのパス配下」だけを説明する使い方も認められましたが、これは大規模なドキュメントサイト向けです。小規模なサイトはルートの 1 本で足ります。

書いたものが良いかどうか、どう判断すればよいですか?

テストは 2 つです。まずバリデーターに通して、H1 がない・2 つある、https:// で始まらないリンク、テキストではなく HTML が返っている、といった構造上の問題を潰します。次に仕様書自身が勧めている方法で、llms.txt の中身だけを AI に貼り付けて、お客さんが聞きそうな質問を 3 つ投げてみます。正しく答えて正しいページを指せれば合格です。

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