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Shopify ストアの llms.txt に何を書くか

ファイルは Shopify が配信してくれる。書かれていないのは、あなたの店のことだけ。

2026 年 5 月以降、Shopify のオンラインストアはすべて /llms.txt に応答します。自分の店のものを開くと、 決済プロトコル、エージェントの作法、レート制限について きちんと書かれた文書が出てきます。ただし、何を売っているか、 どこへ配送するか、返品はどうなるかは一行もありません。

この記事は設置手順ではなく中身の話です。デフォルトに何が 書かれているか、足す価値のある 6 項目、そのまま流用できる 完成例、そしてカスタマイズした結果デフォルトより悪くなる 2 つの失敗をまとめます。

30 秒で分かる結論:Shopify が llms.txt を配信するので、書くのは店固有の部分だけ

2026 年 9 月時点で、Shopify ストアの /llms.txt は /agents.md の写しです。/agents.md は Shopify が全ストアに対して生成・管理しているファイルで、AI エージェントに向けて Universal Commerce Protocol(UCP)の 発見エンドポイント、検索からカート作成、決済までの手順、 認証なしで読める URL のパターンを説明しています。公開済みの ポリシーページへのリンクがあり、最後は Shopify 自身の紹介で 終わります。

書かれていないのは、店の説明です。何を誰に売っているか、 主要なコレクションはどれか、送料はいくらか、返品は何日以内か。 これらは買う前に人が AI アシスタントに尋ねる質問そのもので、 今はアシスタントがたまたま辿り着いた商品ページを読んで 答えています。

直し方はテンプレート 1 枚です。templates/llms.txt.liquid を作り、プロトコルの部分は Shopify が Liquid 変数として 渡してくれる値で残しつつ、店の短い説明を足します。 位置づけを 1 段落、コレクションへのリンクを 5〜15 本(1 本ずつ 一言添える)、送料と返品の要点を文章で、サイズ表とサポート ページへのリンク。それだけです。

デフォルトの中身(2026 年 9 月時点)

下の表は 2026 年 9 月 25 日に稼働中のストアで実際に配信されて いたファイルをもとにしています。自分の店のものも、ドメインが 置き換わった同じ構成になっているはずです。

セクションデフォルトにある?内容
パーソナルショッピングエージェント向けある横断検索と Shop Pay 決済のために Shop skill(shop.app/SKILL.md)の導入を勧める
コマースプロトコル(UCP)ある/.well-known/ucp での発見、/api/ucp/mcp の MCP エンドポイント、6 ステップの購入フロー、対応バージョン
ルールある決済には人の承認が必要、レート制限を守る、購入者の国と通貨を渡す
認証なしで読める URLある/collections/all、/products/{handle}、/products/{handle}.json、/collections/{handle}/products.json、/search、/sitemap.xml
ストアポリシーある/policies/ 配下に公開しているポリシーへのリンク
プラットフォームあるShopify の紹介と shopify.com、shopify.dev、UCP 仕様へのリンク
何を誰に売っているかないH1 の店名だけ
主要なコレクションない汎用の /collections/all パターンのみ
配送地域・送料・日数ない配送ポリシーを公開していればそのリンクのみ
返品期限と条件ない返金ポリシーへのリンクのみ
サイズ・互換性・選び方ない言及なし

デフォルトは「購入エージェントに安全に取引させる」という役割は よく果たしています。Shopify のドキュメントも、ほとんどの店では 管理ファイルで十分だと書いています。取引という意味では そのとおりで、店を正しく説明してもらうという意味では 足りません。

カスタマイズの仕組みを 5 点で

  1. テンプレートは 3 つ、フォールバックは 1 本。 templates/agents.md.liquid は /agents.md を担当し、他 2 つのパスの フォールバックにもなります。templates/llms.txt.liquid は /llms.txt だけ、templates/llms-full.txt.liquid は /llms-full.txt だけを担当します。テンプレートの ないパスは agents.md.liquid、それもなければ Shopify 生成のデフォルトに落ちます。
  2. プレーンテキストか Markdown、Liquid 可。 JSON テンプレートにはできません。書いた内容は text/markdown として配信されます。
  3. Liquid は制限付き。使えるのは request と agents だけです。agents からは store_name、store_url、ucp_discovery_url、mcp_endpoint_url、ucp_versions、currency、sitemap_url が取れます。collections や pages はループできません。 キャッシュしやすく、手で書く前提のファイルです。
  4. 追記ではなく置き換え。llms.txt.liquid を置いた時点で、そのパスの デフォルト内容は消えます。エージェントにプロトコルの エンドポイントを見つけさせ続けたいなら、上の変数で書き戻します。
  5. サイズとキャッシュ。Liquid ファイルの上限は 256 KB です。また Shopify は「このファイルは広くキャッシュされ あらゆるエージェントに配られる」ので個人の連絡先を書かない よう注意しています。良いファイルは数 KB に収まります。

足す価値のある 6 項目

1. 何の店かを 1 段落で

H1 直下の引用ブロック、つまり llms.txt の仕様が要約のために 確保している位置に書きます。何を、誰に、どこから、どの通貨と 言語で売っているか。「京都で作る手作りの陶器の食器。日本から 全世界へ発送、価格は日本円」という一文で、アシスタントが 推測するしかなかった 4 つの疑問が消えます。

2. 主要コレクションを一言添えて

/collections/<handle> へのリンクを 5〜15 本、 人に店を説明するときの順番で並べます。1 本ごとに「何が入って いて、どんな買い手向けか」を一行。「新着」のような自動 コレクションは、実際にお客さんがそこから買っているのでなければ 省きます。個別の商品は載せません。コレクションページと サイトマップがすでに持っています。

3. 送料と返品を文章で

多くの店が間違えるところです。リンクで済ませてしまいます。 Shopify のデフォルト robots.txt はすべての User-Agent に対して /policies/ を Disallow しているので、robots.txt に 従うクローラーは返金ポリシーも配送ポリシーも読みに来ません。 配送地域、標準的な到着日数、送料無料の条件、返品期限、返送料の 負担を 2〜3 文でファイルの中に書き、全文は /pages/ 配下の通常ページに置いてリンクします。 特定商取引法に基づく表記も、ポリシーとして登録しているなら 同じ理由で要点を本文に書いておく価値があります。

4. 選び方:サイズ・互換性・お手入れ

どの店にも「注文前に読んでほしかった」ページがあります。 サイズ表、対応機種の一覧、素材やお手入れの説明。それらを 「どの質問に答えるページか」を添えてリンクします。「これは 合いますか」「うちの機種で使えますか」と聞かれたとき、 アシスタントが引用するのはこのページです。

5. サポートと FAQ

よくある質問、お問い合わせ、配送状況の確認、予約販売や定期 購入をやっているならその説明ページ。質問に答えるページに 絞ります。「私たちについて」は、買い手が知る必要のあることが 書いてある場合だけ入れます。

6. 残りは短い Optional に

ブログ、卸売や法人向けページ、メディア掲載、採用。## Optional の下に置き、読む余裕の少ない側が その手前で止まれるようにします。

完成例

架空の店の templates/llms.txt.liquid の全文です。 最初と最後のブロックは agents オブジェクトで デフォルトのプロトコル情報を残し、その間があなたにしか 書けない部分です。

# {{ agents.store_name }}

> 京都の工房で作る手作りの陶器の食器。日本から全世界へ発送し、価格は {{ agents.currency }} 表示です。このファイルは AI アシスタント向けの案内で、エージェント向けのプロトコル説明は {{ agents.store_url }}/agents.md にあります。

## コレクション

- [皿](/collections/plates): 18〜27 cm。食洗機対応。1 枚または 4 枚セット。
- [鉢・碗](/collections/bowls): 飯碗、麺鉢、盛鉢。初めての方に一番選ばれています。
- [茶器](/collections/tea): 急須、湯呑、揃いの盆。ギフト箱に対応。
- [アウトレット](/collections/seconds): 見た目に難のある品。30〜50% 引き、返品不可。

## 配送と返品

配送先は日本、米国、カナダ、EU、英国、オーストラリア、シンガポールです。ご注文から 3 営業日以内に発送し、海外は国際宅配便で 5〜10 日で届きます。送料は国内 8,000 円以上、海外 25,000 円以上で無料です。未使用品は到着後 30 日以内に返品でき、返送料はお客様負担です(破損・誤配送は当店負担)。アウトレット品は返品不可です。

- [配送について](/pages/shipping): 地域別の送料、関税、追跡。
- [返品と破損](/pages/returns): 割れて届いた場合の連絡方法。

## 選び方とお手入れ

- [サイズガイド](/pages/size-guide): 皿と碗の寸法。一般的な洋食器との比較写真つき。
- [お手入れ](/pages/care): 釉薬ごとの食洗機・電子レンジ・オーブンの可否。

## サポート

- [よくある質問](/pages/faq): ギフト包装、別注の納期、卸売の最低数量。
- [お問い合わせ](/pages/contact): 対応時間と返信の目安。

## コマースエージェント向け

- UCP discovery: {{ agents.ucp_discovery_url }}
- MCP endpoint: {{ agents.mcp_endpoint_url }}
- Sitemap: {{ agents.sitemap_url }}
- Product JSON: {{ agents.store_url }}/products/{handle}.json

## Optional

- [工房日誌](/blogs/journal): 制作の記録と釉薬の試作。
- [卸売](/pages/wholesale): 店舗・飲食店の方へ。

2 点だけ補足します。配送の段落がリンクではなく文章なのは、/policies/shipping-policy へのリンクだと大半の クローラーに読まれないからです。コレクションの一覧が短く 偏っているのは意図的で、「傷ものの安い品はありますか」は 実際にある質問なのでアウトレットを載せ、自動生成の「新着」は 載せていません。

デフォルトより悪くする 2 つのやり方

プロトコルの部分を消す。テンプレートに店の 説明しか書かないと、デフォルトを頼りに UCP の発見 URL と MCP エンドポイントを見つけていたエージェントがそれを失います。 「コマースエージェント向け」のブロックを残すか、店の説明を agents.md.liquid のほうに書いて 3 つのパスすべてに 両方を載せるかのどちらかにします。

カタログを貼り付ける。全商品の名前と価格と 在庫を llms.txt に書き出すアプリがあります。それはフィードで あって、価格が変わった瞬間に古くなりますが、ファイルのほうは キャッシュされて長く配られます。価格と在庫は商品 JSON と Shopify Catalog に任せ、llms.txt にはカテゴリとルールを書きます。

確認の仕方

テンプレートを保存したら、ブラウザではなく素の HTTP クライアントで取得して、クローラーが見るものをそのまま見ます。

curl -sL https://自分のストア/llms.txt | head -20
curl -sI https://自分のストア/llms.txt | grep -i content-type
curl -s https://自分のストア/robots.txt | grep -i policies

1 つ目で H1 と引用ブロックが出ること、2 つ目で text/markdown が返ること、3 つ目で Disallow: /policies/ の行が見えること(送料を本文に 書いた理由です)を確認します。そのあとバリデータに通して、 H1 の欠落、絶対 URL のつもりで相対パスになっているリンク、 うっかり H1 になっている見出しを拾います。

ストアの llms.txt を検証する

ストアの URL を貼ると、/llms.txt を取得して仕様に沿った構造かを確認し、見つかったリンクをすべて一覧にします。アシスタントに見えているものがそのまま分かります。

バリデータを開く →

よくある質問

自分の Shopify ストアにはもう llms.txt があるのですか?

Shopify のオンラインストアを使っていれば、あります(ヘッドレス構成は除く)。2026 年 5 月 28 日の Shopify 開発者向け変更履歴以降、すべてのストアが /agents.md を配信し、/llms.txt と /llms-full.txt は独自テンプレートを置かない限り同じ内容を返します。https://自分のストア/llms.txt を開けば確認できます。中身は「AI エージェントがこの店で購入する方法」の説明で、何を売っている店かは書かれていません。

カスタマイズにアプリは必要ですか?

不要です。テーマのコードエディタで templates フォルダに llms.txt.liquid(3 つのファイルをまとめて変える場合は agents.md.liquid)を追加すれば、そこに書いた内容がそのまま配信されます。プレーンテキストか Markdown に Liquid を混ぜて書けます。アプリが役立つのは商品カタログから自動生成したい場合だけで、後述のとおりそれは多くの場合やらないほうがよい内容です。

llms.txt.liquid の中でコレクションをループできますか?

できません。この 3 つのテンプレートは広くキャッシュできるように制限された Liquid 環境で描画され、使えるのは request オブジェクトと agents オブジェクトだけです。shop、collections、products、pages は参照できません。コレクションの一覧は手で書くことになりますが、選んで書くのが本来の作り方なので不都合はありません。

全商品を載せるべきですか?

いいえ。数十点を超える店では 1 商品ずつの説明は入りきりませんし、llms.txt は目次であってフィードではありません。人が実際に尋ねる質問に答えられるコレクションとガイドページを載せ、商品単位のデータはサイトマップ、コレクションページ、Shopify Catalog に任せます。

送料と返品はポリシーページにリンクすればよいのでは?

リンクだけでは足りません。Shopify が生成するデフォルトの robots.txt は、すべての User-Agent に対して /policies/ を Disallow しています(2026 年 9 月に複数の稼働中ストアで確認)。robots.txt に従うクローラーは返金ポリシーや配送ポリシーのページを読みません。llms.txt の中に 2〜3 文で要点を書き、全文は /pages/ 配下の通常ページに置いてリンクするのが、AI が実際に使える形です。

これで商品が ChatGPT や Google の AI モードに出るようになりますか?

それだけでは出ません。ChatGPT、Copilot、Google の AI モードでの商品表示は Shopify Catalog と各コマースプロトコルが担っており、2026 年 9 月時点では米国の購入者向けに販売していることが条件になっています。llms.txt が効くのはもう半分、つまりアシスタントが「送料は」「サイズは」「何を売っている店か」を答えるためにサイトを読みに来たときに、商品ページから推測させずに、明確で最新の要約を渡せることです。

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